今回は中小企業診断士への道の第11弾として、
多角化戦略についてまとめてみたいと思います。

多角化戦略

多角化戦略とは、自社の経営資源を「新しい製品・サービス」「新しい市場」を組み合わせて新しい分野に投入することで、事業の拡張を目指す戦略の一つです。

関連多角化

生産設備や流通チャネルなど、何らかの関係性がある分野への多角化です。

こちらの方が成功率が高いと言われています。

非関連多角化

全く関連のない分野への多角化です。

4つの多角化戦略

多角化戦略
多角化戦略は、多角化する市場や製品分野により水平型多角化戦略、垂直型多角化戦略、集中型多角化戦略、集成型多角化戦略の4つに整理できます。

水平型多角化戦略

既存製品と同じ市場や顧客を対象にして、新製品を投入する多角化のことです。

例えば、洋服ブランドがバッグやシューズを扱うことで、事業範囲を広げるパターンです。

垂直型多角化戦略

既存市場の川上や川下に進出する多角化のことです。
川下への多角化を「前方的多角化」、川上への多角化を「後方的多角化」と言います。

・川上:生産(原材料)
・川下:消費者

※アサヒビールの場合:川上がアルミ缶会社の買収、川下がショットバーやアンテナショップの開業

集中型多角化戦略

既存事業の技術やマーケティングと関連がある新製品を、新市場に投入する多角化のことです。

集成型多角化戦略

既存製品や既存市場とほとんど関連のない分野に進出する多角化のことです。リスクが高い多角化で、別名コングロマリット化と言われます。

コングロマリット

異業種の会社まで合併などで吸収し、多種類の事業を営む大企業、または副業企業のこと。

多角化戦略のメリット・デメリット

多角化戦略にもメリット・デメリットがあります。
そこで、それぞれについて詳しくご紹介いたします。

多角化のメリット

・経営の安定化:複数の事業に夜収益性の安定化
・環境変化に対するリスク対策:法令強化や破壊的イノベーションに夜技術革新、顧客ニーズの変化に対する対策
・企業成長の加速化:企業買収、事業提携による迅速な新市場開拓

多角化のデメリット

・中小企業には不向きな経営戦略:潤沢な資本金と経営資源があってこそ、高い収益が期待できる
・コスト削減、効率化が難しい
・莫大な損失を招く:子会社化した海外企業の不適切な会計処理が発生するなど、親会社が莫大な損失を被る危険性がある

多角化戦略の採用動機

多角化は経営判断においてとても重大なことです。
ただし、過度な多角化はドメインの曖昧化を招いてしまうので、十分な注意が必要です。

市場機会の認識

経営変化に伴って、魅力的な新しい事業分野を認識した場合、その事業領域へ経営資源を投入するために、多角化を図ろうとします。

余剰資源の活用

利用していない設備や人材など、余剰な経営資源(=スラック)を有効活用することで、範囲の経済性を得ることができます。

範囲の経済性

範囲の経済とは共通の生産能力や顧客に基づいて製品の種類を増やすことによって収益を増大させることをいう。

→単一の製品を生産するより、複数の製品を生産する方が、経営資源の多重利用ができるため、コストは低くなる。

事業リスク分散

複数の事業を営むことで、特定事業の業績が悪化しても、他の事業でカバー(=ポートフォリオ効果)できるため、多角化を図ろうとします。

ポートフォリオ効果

数の値動きの異なる証券を組み合わせて分散投資することで、ポートフォリオ全体としてのブレが相殺されてリスクが軽減されます。

シナジーの追求

複数の事業を営むことで、生産設備や販売チャネルなどの経営資源の共有や保管を行い、相乗効果が図れます。

多角化の手段

多角化の手段は大きく分けて2つあります。

内部成長方式

自社の経営資源を活用して事業を展開・成長させる手法です。

外部成長方式

戦略的提携やM&Aにより多角化していく手法です。

多角化が失敗する原因

・十分な環境分析を行っていない
・自社がもつ経営資源以上の多角化を進める
・競合他社も自社と同じような多角化を行った