今回は中小企業診断士への道の第16弾として、
業界の競争構造分析についてまとめてみたいと思います。

5つの競争要因

35歳という最年少で、ハーバード・ビジネス・スクールの教授となったポーターは、市場または市場セグメントに内在する長期的な収益上の魅力を決定する5つの要因として、5つの競争要因(5Forces)を指摘しています。

5つの競争要因分析(5Forces分析)

1.業界への新規参入者の脅威

新規参入が容易であれば、どんどんシェア争奪戦が激しくなり、自社の収益を圧迫する可能性があります。

2.業界への代替製品の脅威

代替製品が存在するなら、それらが自社製品の価格を抑える可能性があります。

3.仕入先との交渉力

仕入先が、需要過多や人気商品の独占取り扱いなどで自社を上回る交渉力があれば、仕入れコストがかさむ可能性があります。

4.買い手(顧客)との交渉力

供給過多や不人気商品など顧客に自社を上回る交渉力があれば、顧客は自分に有利な価格をオファーして、自社の利益を抑えようとする傾向があります。

5.同業他社間との競合

同業他社との競争が激しければ、価格、開発、製造、広告などあらゆる面で競争が繰り広げられ、自社の収益が減少する可能性があります。

上記の5の競争要因により業界の構造分析を行い、その収益性(魅了度)を測定するというものです。

おいしい業界を見つけるのが重要

5つの競争要因分析(5Forces分析)では、業界や市場によって圧力の強さを比べて、おいしい業界を見つけるのが重要です。

その為、5つの競争要因(5Forces)を1つの業界で分析してもあまり意味がありません。

複数の業界や異なる市場で各圧力の強度を比べて、業界の特徴や魅力を検討していきましょう。(強度が強いものばかりの業界や市場では、成功する確率が下がります。)
参照:https://www.sbbit.jp/article/cont1/29561

新規参入業者との争いが激化

例えば、魅力的な市場であれば新規参入してくる業者も多く、法的規制や規模の問題などの新規参入を阻む参入障壁が低ければ、一層競争は激化します。

製品そのものが代替される脅威

例えば、昨今の原油価格高騰から電気自動車を使い始めた企業があるように、ガソリンの需要が低迷してしまったり、VHSビデオデッキは、DVDレコーダーに取って代わられてしまいました。

5つの競争レベルが高まる要因

それぞれ5つの競争レベルが高まる要因を下記におまとめします。

既存企業間の敵対関係が高まる要因

・競合企業が無数にある。あるいは規模や力の点でほぼ同等である
・市場(業界)成長率が低い(シェアの獲得争い)
・固定費が高いか、製品が陳腐化しやすく、価格引き下げの誘惑が生じやすい
・生産能力の増強が大掛かりに行われる
・撤退障壁が高い
・スイッチングコストが低い(別製品への乗り換えが容易)

新規参入の脅威が高まる要因

・市場(業界)成長率が高い
・規模の経済性が低い
・製品差別化の程度が低い
・設備投資や在庫など参入に巨額の投資が不要
・スイッチングコストが低い(別製品への乗り換えが容易)
・流通チャネルへのアクセスが容易
・政府や法律による参入規制がない
・過去に既存企業に夜報復の例がない(既存企業が新規参入企業に対して寛容)

代替品の脅威が高まる要因

・現在の製品よりも価格性能比(コストパフォーマンス)で上回る製品の出現
・高収益をあげている業界が代替品を生産

売り手の交渉力が高まる要因

・売り手の数が少ない
・買い手が売り手にとって重要な顧客ではない
・買い手の事業にとって供給品の品質が重要
・買い手のスイッチングコストが高い(別製品への乗り換えが難しい)
・売り手が川下統合(前方垂直統合)に乗り出すという姿勢を示す

買い手の交渉力が高まる要因

・買い手が集中化していて、売り手の総取引量にとってかなり大量の購入をする(売り手が特定顧客に依存している)
・買い手の購入する製品が購入物全体に占める割合が大きい
・買い手のスイッチングコストが低い(別製品への乗り換えが容易)
・買い手の収益性が低い
・買い手が川上統合(後方垂直統合)に乗り出すという姿勢を示す
・売り手の製品が買い手の製品の品質にとってほとんど関係ない
・買い手が十分な情報を持つ

戦略グループ

戦略グループとは、ポーターが提唱しているもので「戦略次元上で、同じか類似の戦略をとっている企業のグループ」のことです。

それぞれの産業はいくつかの異質な企業グループから構成され、各グループ内の企業は類似の構造的特徴を持っています。

これを分析することにより、自社がある業界へ参入しようとするときに、自社の戦略に適合したグループを選択することができます。

戦略グループは専業度と垂直統合度合いによって形成される

戦略グループは、専業度(製品の種類の多い少ない)と垂直統合度合いによって形成されます。

また戦略グループは、各固有の移動障壁を持っており、強力な移動障壁を持つ戦略グループは収益性が良好である可能性が高いと言えます。

競走について言えば、同じ業界に複数の戦略グループがあると、競争は激化する傾向にあります。

戦略グループマップの軸は、その業界の移動障壁を決める要素が設定されていなければならず、移動障壁が明確になって初めてその業界のトレンドや自社の戦略の方向性を認識できるようになります。
戦略グループマップ
・Aグループ:製品の種類が多く、垂直統合度も高く、生産コストが低く、低サービスで品質は中級

・Bグループ:製品の種類は少なく、アッセンブラー(完成品組み立てメーカー)、高価格、高技術、高品質

・Cグループ:製品の種類はそこそこで、アッセンブラー、価格は中くらい、顧客サービスは非常に熱心、品質は低いが価格も安い

・Dグループ:製品の種類は少なく、高度に自動化されており、低価格で、低サービス

※垂直統合とは、ある企業が自社製品やサービスの生産のためのサプライチェーンを作る際に、必要な工程すべてを自社グループで組織することで競争力を高めようとするビジネスモデルを指します。

※サプライチェーンとは、製品の原材料・部品の調達から、製造、在庫管理、配送、販売、消費までの全体の一連の流れのことをいいます。 サプライチェーン(Supply Chain)は、日本語では「供給連鎖」といわれています。