今回は中小企業診断士への道の第17弾として、
業界の競争構造分析についてまとめてみたいと思います。

競争戦略

競争戦略とは、競争相手に対していかに優位性を獲得するか、という戦略のことを言います。

競争対抗

相手より低コストを実現する「コスト・リーダーシップ戦略」、独自性を打ち出す「差別化戦略」、特定のセグメントに焦点を当てる「集中戦略」などがあります。

競争回避

競争相手の得意分野を意図的にずらし、市場獲得のための価格設定や広告活動などを展開する方法あります。

競争優位の戦略

企業が業界で長期間に平均以上の業績を達成するには競争優位が必要です。

ポーターは競争優位を築く基本戦略として、コスト・リーダーシップ戦略、差別化戦略、集中戦略の3つを挙げています。

ポジショニング戦略

競争戦略においては、デルタモデルやコトラーの競争優位分類など、様々なフレームワークがありますが、その中でもポジショニング戦略は基本的概念となるものです。

コスト・リーダーシップ戦略

競合他社よりも少しでも安いコストで製品を作ることが基本戦略です。

製造工程・仕入先・業務フロー・販売方法の工夫などを通じてコストを抑え、低価格で販売する戦略です。

差別化が難しい業界で有効ですが、適当な価格競争は企業収益を悪化させ、企業を疲弊させるので注意が必要です。

※業界全体を対象に、規模の経済や経験曲線効果などにより低コストで最優位に立つ戦略です。

※規模の経済性とは事業規模が大きくなればなるほど、単位当たりのコストが小さくなり、競争上有利になるという効果のことを指します。

※経験曲線とは、経験を積むことによって総付加価値コストは低減するというの経験曲線効果をグラフ化したものです。

差別化戦略

差別化は企業収益を安定させ、適当な価格競争に巻き込まれないための、最も重要な戦略です。

ブルー・オーシャン戦略もまさに差別化戦略の一つです。

差別化戦略は、製品の特徴、ブランドイメージ、テクノロジー、顧客サービスといった点で「特異性」を持つことで、業界内で優位に立つ戦略です。

差別化には、

・品質、デザイン、機能
・ブランド
・サービス、納期

などでの差別化があります。

この場合、コストを低くすることが第一の目標にはなっていないため、一般的に価格は高価格帯となる傾向にあります。

競合他社に模倣されないことが成功の要因となるため、他社にはない付加価値を提供する必要があります。

集中戦略

集中戦略は競争優位のタイプにより、

・コスト集中
・差別化集中

の2つに分かれます。

集中戦略は特定の「買い手」「製品の種類」「地域」などのセグメントに集中して経営資源を投下する戦略です。

集中によって、製品開発のスピードが上がったり、低コストを実現できたりします。

社内の限られたリソースも効率的に運用できるため、成功した場合は、大きな収益が得られます。

差別化戦略やコストリーダーシップ戦略が幅広い幅広い市場をターゲットとするのに対して、集中戦略は市場を細分化し特定のセグメントターゲットに資源を集中させる戦略です。

また差別化集中により、強固なブランドや顧客との関係構築ができます。

ポジショニング戦略の生みの親であるポーターは自著「日本の競争戦略」で、長期的視野で独自性のある戦略を持ち、関連性のない分野への多角化をやめることの重要性を解いています。(選択と集中)

※ポーターは、一般的に2つ以上の戦略を取ることは困難であると言っています。

競争回避の戦略

競争を仕掛け、ライバル企業を打ち負かし勝つことだけが企業の戦略の目的ではありません。

競争回避の戦略とは、障壁を作り競争を回避する戦略のことを言います。

参入障壁

既存企業が新規参入企業に対し、参入障壁を構築して新規参入を防止することで、自社の市場地位を強化し、収益を確保することを言います。

規模の経済性

規模の経済性とは、一定期間内の生産量増加に伴い、製品1単位あたりのコストが低下することですが、規模の経済性が働いている業界では、新規参入者は最初から大量生産が求められます。

製品差別化

既存企業がすでに市場で認知されている製品を提供している業界では、参入者は莫大な費用を使って、製品の認知度を上げなければならず、新規参入者にとって参入障壁となります。

巨額の投資

参入初期や参入後、継続的に巨額の投資が必要な場合、資金力に劣る企業の参入を事実上阻止することができます。

流通チャネルの確保

既存の流通チャネルが既存企業に押さえられている場合、新規参入者にとって流通チャンネルを構築するコストが大きくなり、参入が難しくなります。

政府や法規制など

政府の政策的意図が働いていて新規参入を事実上阻むような厳しい規制がある場合には、新規参入は難しくなります。(例えば、金融関係ではかつて「護送船団方式」と言われ、規制に守られ新規参入が事実上不可能な状態でした。)

移動障壁

業界内である戦略グループから別の戦略グループへ移動する際の障壁を言います。

例えば、「企業文化やノウハウ、経営資源などを蓄積するのに時間がかかるため、グループ間の移動が困難」などがあります。

撤退障壁

赤字でも業界内から撤退できない要因のことを言います。

例えば、他事業との関連、雇用の確保、他社との契約、経営者のこだわりなどがあります。

タイムベース競争

タイムベース競争とは、時間的な優位性を以って競争優位を築こうとする競争、もしくはその戦略のことを言います。

従来型の競争は、低価格化戦略や差別化戦略などに代表されるように、顧客ニーズに応える商材と品質及び、そのコストによって競争優位を築こうとしてきました。

しかし現在では、これらの要素に加えて「時間(短縮による利便性)」も競争優位の源泉となります。

タイムベース競争では、絶対的な「速さ」と相対的な「早さ」の2つが競争の焦点となります。

速さのマネジメント

速さとは、製造リードタイムを2週間から1週間に縮めるといった「絶対的な速さ」を指します。

米国型:リレー型開発

1つの工程が完了してから次の工程に入るという開発手法です。

日本型:ラグビー型開発

1つの工程が完了する前に次の工程がスタート(同時並行化)する開発手法です。

早さのマネジメント

早さとは、類似製品の市場導入に関して、先発か後発か、といった「競合企業との相対的な早さ」を指します。

他社に先行して生産・販売することで、利益やシェアの面で有利なポジションを獲得できます。

良い競争関係

市場では、お互いが自社の売上や利益を増やす関係にあることもあります。 ポーターは、良い競争業者を持つことには4つの利点があると述べています。

良い競争業者を持つことによる4つの利点

・競争優位の向上(需要変動の吸収、差別化能力の強化、魅力のないセグメントを任せる、高コストに基づく市場価格の形成、独占禁止法違反の危険性低下、モチベーションの向上)

・業界構造の改善(業界需要の拡大、供給源の複数化、業界構造の好ましい要因の助長)

・市場開発の促進(市場開発コストの分担、買い手のリスク低減、技術の標準化の促進、業界イメージ向上)

・参入阻止(報復の可能性の向上、参入の厳しさを思い知らせる、論理的参入路を閉鎖、チャネルの混雑化)

良い競争関係の事例

・新しい駅ビルに、これまで以上に多様な小売業者の入店を図るとともに、映画館やアスレチック施設、さらに大学のサテライト教室なども入れて来客数を増やす

・コストダウンは自動車部品供給業者の利益を圧迫するが、それが自動車会社の販売力に結び付くと、自動車生産量を増加させることになるので、長期的に見れば供給業者に有利に働く

ネットワーク外部性

ネットワーク外部性とは、「ネットワークに参加するユーザーが多くなるほど、ユーザーの満足度が高まる」ことを指します。

VHSとベータの競争

当初はVHSとベータは競争関係にあり、ユーザーも半々でしたが、VHSのシェアが優勢になると、雪崩をうったようにユーザーがVHSに殺到し、VHSが競争を制しました。

デファクトスタンダードとデジュールスタンダード

デファクトスタンダードとは、事実上の業界標準のことをいい、ネットワーク外部性を働かせ、普及率をあげることがポイントになります。

一方、ISO規格など公的機関による基準をデジュールスタンダードと言います。

デファクトスタンダード化するには、オープンアーキテクチャやOEM等の手法が有効ですが、デファクトスタンダード化すると、自社製品がコモンディティ化し、価格競争が激化する可能性があるので、注意が必要です。

※オープンアーキテクチャ:自社の技術や設計情報をオープンにして、他の開発者の参加を促し、周辺機器や関連アプリケーションなどの開発た販売を促進させること

※OEM:自社のブランド製品の一部または全部を他社へ生産委託すること

※コモンディティ化:高付加価値の製品の市場価値が低下し、一般的な商品になってしまうこと

クリティカル・マス

クリティカル・マス
参照:http://bgeducation.blog.fc2.com/category5-3.html
クリティカル・マスとは、ある商品やサービスの普及率が一気に跳ね上がるための分岐点のことです。

事業ライフサイクル

参照:http://plus-work.jp/kadai/seityo.html
・ネットワーク外部性、デファクトスタンダードによる競争戦略→導入期
・競争戦略→成熟期